「数学も学生生活も楽しもう」 水川裕司さん(1998年修了)

私が北海道大学に入学したのは平成6年です.当時の北大では,始めの一年半は教養部に所属し,その後希望した学科に進むという制度がとられていました.そして,私が所属した理 I 系の主な進学先は理学部と工学部でした.

もともと数学が好きだった私は,とくに疑問を感じる事無く数学科を選ぶつもりでいましたが,いざ進路選択の時期になると不安になりました.確かに数学は好きでしたが,それを将来どのように生かせば良いのか想像が出来なかったからです.もうすこし潰しの利きそうな工学部の他の学科を選んだほうが良いのではないか?と随分迷いました.しかし,数学のもつ魅力は他の学問では替える事が出来ない,これを今やらなければきっと後悔する,という結論に達し,数学科進学を決心しました.これは今になって言える事ですが,私の数学科での同級生達が様々な職に就き,そしてそれぞれ充実した社会生活を送っている事を見れば,将来に対する不安を感じる必要はあまりなかったのかもしれません.したがって皆さんは一度決心したら,数学に打ち込むと良いと思います.それが,将来のあなたの自信となり,価値となるはずです.

もっとも,勉強一筋も良いのですが,大学生活にはそれ以外にも楽しい事がたくさんあります.私自身も体育会の部活動や,いろいろなバイトなどを通じて多くの貴重な経験をしました.これらの事と数学の勉強を両立させる事は可能です.むしろ様々な事との両立を試みることで,人間としてのバランス感覚を養って欲しいと思います.数学で培う論理的な思考力とそれ以外で学ぶ社会性の調和を得る事が出来たなら,最高だと思います.平たく言うと,どんな時でも正しい方法で考え,みんなと仲よく出来る人間は出世するぞ,と言う事です.

ちなみに,結局数学科に進んだ私はこの後も,修士課程進学で迷ったり,博士課程進学で迷い,就職活動を平行してやってみたりと試行錯誤の日々を送る事になるのですが,その都度,数学の持つ魅力に押し切られ結局この素晴らしい世界の末席に身を置き続けています.振返ると,人生の岐路においていつも励ましてくれたのは数学科の友人や先輩,そして指導していただいた先生です.皆さんの周りにも個性的で素晴らしい人たちが沢山いるはずです,そのような仲間たちと共に充実した大学生活を送ることを祈っています.

[防衛大学校 総合教育学群 数学教育室 准教授]