Colloquium グラフホモロジーと特性類

Date
2009-05-07 16:30 - 2009-05-07 17:30
Place
Faculty of Science Building 3 Room 309
Speaker/Organizer
Tadayuki Watanabe (Hokkaido University)
 
「私は球面をファイバーとする可微分ファイバー束という図形の分類に興味があり、その分類空間の有理係数ホモロジー・コホモロジーの構造を研究しています。可微分球面束の分類空間は微分同相群Diff(S^n)(無限次元のLie群)の分類空間BDiff(S^n)であることが知られており、Diff(S^n)のホモトピータイプは長い間研究されています(関係する主な研究者を挙げると、Milnor, Cerf, Novikov, Smale, Waldhausen, Farrell-Hsiang, Hatcher, Igusa-Klein, etc.)。Diff(S^n)のホモトピータイプに関するこれまでの研究を振り返ると、nが3以下の低次元か、またはnが十分大の安定域(π_i(Diff(S^n)), n>>i)で満足な結果が得られている一方、それ以外の非安定領域に関する結果はほとんどなく、そこは広大な未知の領域でした。しかし90年代に重要な進展があり状況が変わりました。Kontsevichは、ある種の基本的な「非線形」変換群や、無限次元Lie環、埋込み写像の空間等のコホモロジーが、グラフホモロジーというものにちょうどなっていることを示しました。グラフホモロジーは3つのバージョン(commutative, associative, Lie)があり、いずれも定義は純粋に組み合わせ的なものです。彼は特に、commutativeグラフホモロジー類を使ってBDiff(S^n)のコホモロジー類(特性類)を沢山構成しました。それらがもし非自明であれば、既知の部分とは対照的にBDiff(S^n)のホモトピータイプはきわめて豊富な情報を持っていることになり、球面のあの単純な形からは想像がつきにくいちょっと奇妙なことになります。今回紹介する私の主結果は、任意の3価グラフのホモロジー類に対応する特性類の非自明性です。証明は驚くほど初等的で、低次元トポロジーで使われるcut-and-pasteの技術を高次元にうまく拡張するだけでできてしまいます。」