研究のねらい

研究のねらい

「生命現象を記述する数理モデルのうち、特に生体内に形成されるパターンの記述に多く用いられている反応拡散型の非線形偏微分方程式モデルに注目し、これまで主に2 変数系に対して述べられてきた重要な概念である、拡散不安定性、あるいは活性化-抑制化 因子系や資源—消費者系といった、方程式や解の性質を論じる上で重要な既存の概念を多変数系のモデルにも適用できる、普遍性をもった形に拡張することを目標の一つとしています。

これは、ますます複雑化すると予想される今後の数理モデルに対して、個別の解析に入る前に数理モデルの性質をある程度捉えるための重要な指標になると期待されます。

また、そうした多変数系に拡張された概念を数理モデルの解析のためだけではなく、概念が成立するか否かを実験データにより直接検証可能な形の条件式として与えます。条件式は、各変数間の定性的な性質のみによって表現された十分条件として与えることなどを想定しています。

これは、実験である量を増減したりある機能をノックアウトしたりすることによって、対応する量の増減や機能の存在・非存在といったことだけがチェック可能であるとといった状況などに対応すると考えられます。

こうして具体的な数理モデルを通さずとも、実験データのみから現象の大まかな数理構造を知ることができると期待されます。


1.生体内に現れる時空間パターン

分化の波の伝播、細胞接着による増殖制御、概日時計中枢の神経ネットワーク

  1. 関与する分子の種類・役割の大部分が明らかになっている
  2. 生体内における情報測定が可能
  3. 遺伝子操作により実験パラメーターの操作を生体内において行うことが可能

2.非線形偏微分方程式モデル

反応拡散型の数理モデル

  1. 空間パターンを構成する反応拡散型の定性的モデルが既に多数提案されている
  2. 空間パターン形成のメカニズムに関する理論が既にある程度知られている
  3. 他のタイプのモデルが反応拡散型のモデルで近似できる

現象を再現する定性的モデルの構築と内在する普遍構造の抽出

拡散不安定性, 活性化-抑制化因子系, 進行波, 分岐構造 など

将来のモデルの
複雑化に対応

普遍構造を一般の多変数系において成立する形に拡張

定量的モデルへ適用範囲を拡張

新しいモデルを
作成する際の指針

実験結果との直接的照合が可能な条件式の実用的な表現

単調性や on-off など定性的条件のみで表現

モデルを介さず
実験結果と照合


主な活動状況

2017年
8月22日 CRESTチーム内ミーティングを金沢大学医学部キャンパスにて開催
2月15日 CRESTチーム内ミーティングを金沢大学医学部キャンパスにて開催
2016年
8月1日 Patterns and Waves 2016を北海道大学学術交流会館にて開催
7月18日 Joint Australia-Japan workshop on dynamical systems with applications in life sciencesをQueensland University of Technology(オーストラリア、ブリスベン)にて開催
6月8日 CRESTチーム内ミーティングを金沢大学医学部キャンパスにて開催
2015年
9月2日 ミニワークショップ, 分化の波の実験と数理モデルを京都駅前キャンパスプラザ(6階 第7講習室)にて開催
8月4日 坪井総括によるサイトビジットを北海大学理学部にて実施
3月31日 第1回「概日時計ネットワーク」部会を金沢大学医学部キャンパスにて開催
3月26日 第1回「細胞接着」部会を九州大学医学部キャンパスにて開催
1月28日 CRESTの平成26年度第1回全体会議を金沢大学医学部キャンパスにて開催
2014年
11月30日 さきがけ「数学協働」領域との合同領域会議が独立法人科学技術振興機構の東京本部にて開催