RCIM LETTERS Vol.2 No.1 (2009年12月)

※ Vol2.No.1号に掲載されているインタビュー記事内に不正確な記載がありました。お詫びして訂正いたします。訂正内容については正誤表(PDFファイル)をご参照ください。なお、下記Web版では正誤表に基づき記事を訂正しております。

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東北大学 大学院理学研究科 小谷元子教授インタビュー Web版

本年11 月2日から6日にかけて集中講義で大学院理学研究院に来訪された小谷元子教授のインタビューが11 月5日に行われました。小谷教授のご専門は幾何。小谷教授は、数学連携研究センターと連携関係にある東北大学応用数学連携フォーラムの主催者を務められ、また、数学連携研究センターの西浦康政兼務教員が総括、津田一郎センター長がアドバイザーを務める科学技術振興機構のプログラムのもとでプロジェクトのチームリーダーを務める等、本センターと縁が深い方でもあります。数学という学問に対する姿勢、応用数学連携フォーラム、現在進行中の研究プロジェクト等、小谷教授が現在取り組んでいらっしゃる幅広い活動についてお話を伺いました。なお、本インタビューは数学連携研究センター・センター長である津田一郎教授およびセンター兼務教員である秋田利之准教授の司会で行われました(文中敬称略)。

数学が一番素晴らしい

津田 数学連携研究センターでRCIM Letters という広報誌をだしておりまして、そこに今回のインタビュー記事を掲載させていただきたいと思います。第2回目ということになります。最初は私が話しますが、具体的な話になりましたら秋田先生にお願いしたいと思います。小谷先生はもちろん数学者なんですけれども、今東北大学の方で大学の顔といいますかディスティングイッシュト プロフェッサー(注1)としてご活躍されています。数学者としての顔と大学の顔とコンフリクトすることもあるかと思うわけですが、その辺はどのようにお考えですか。うまく処理されているのかということを、まず最初に伺っていきたいと思いまして。

小谷 東北大学はディスティングイッシュト プロフェッサーという名前で30 人の教授を選んでいます。ディスティングイッシュト プロフェッサーは、大学の顔として対外的な講演を行うことがミッションの一つになっています。また,東北大学は異分野融合を進め新しい科学を構築することを掲げている大学なのですが、そのようなモチベーションのある大学院生向けに分野を超えて講義をする(注2) こともミッションです。たしかにディスティングイッシュト プロフェッサーということでエクストラな仕事もあって、それはそれで時間をとられるということもあるんですが、数学の面白さを他分野の人に伝える機会を与えていただいていると思っています。それはとてもありがたいので有効に活用させていただいています。

津田 そうすると矛盾した状態におかれて精神的に大変だということはない?

小谷 そうですね。私は出前授業にも割と積極的ですが、それを社会貢献だと思ってやっているわけではありません。自分は数学をやっていてとても楽しいし、数学が一番素晴らしい学問だと思っているので、そういうことを若い人、中学生、高校生、それから大学院生に伝える機会があるというのはとても恵まれていて、ありがたいと思っています。

(注1)ディスティングイッシュトプロフェッサー制度とは教育、研究、社会貢献などの分野において先導的な役割を担う教授を尊重し、その活動をサポートする東北大学の制度。2008年から開始、任期3年。

(注2)「異分野クロスセッション」講義。平成21年度より開設。

2種類のオーガニゼーション能力

津田 北海道大学の数学連携研究センターでもとても近いミッションがありまして、いろんな分野を数学で連結したいということを考えていろんな企画をしています。5月に東北大学の応用数学連携フォーラム ( 以下AMF) (注3)と連携させていただいて、その時に小谷先生にご尽力いただいて脳科学関係のシンポジウム(注4) をしていただいたんですが、これは非常に人選、オーガニゼーションがよかった。東北大学の脳科学研究に特徴があることも関係していると思うのですが、小谷先生がいろいろとご尽力していただいたということもあります。私は非常に感心していて、あそこに集まった飯島さん(飯島敏夫・東北大学理事)も含め脳科学者を集めると相当おもしろい研究ができるのではないか、そこに数学という核が入ってくると世界にないような発展性のある脳科学ができるのではないか、という印象を強くもったんですね。そういう意味で小谷先生のオーガニゼーション能力に非常に感銘をうけました。他の人に聞くと実は昔はそういう能力はおもちではなかったらしいのですが、どこでそういった能力を発揮されるようになったのでしょうか。ご自分では言いにくいかもしれませんが。

小谷 オーガニゼーション能力については2種類あると思います。ひとつは研究内容、どういう人に講演してもらうか等の、つまりサイエンティフィック・コミッティーとしての能力と、もうひとつは事務的な処理能力に分けられると思います。前者のサイエンティフィック・コミッティーに関しては、これまでも,The 1st JAMS International Symposium, The1st MSJ-SIなどと、なぜか「第一回」の研究集会を組織する機会を与えてもらうことが多くて。私は、数学の講演会とか研究集会のプログラムの部分については一生懸命考える方で、それなりに面白い集会ができたのではないかと思っています。今のような分野をまたがったプログラムを組むということに関しては、 2005 年くらいから全学の委員会に頻繁にでるようになり、特に2005 年以降、研究企画推進室員をやっています。それで東北大学の強い研究とか研究者の情報が自然に入ってきますし、あと2006、7 年くらいから総長室の研究基本戦略グループ代表として東北大学の研究をどうやって強めていくかという議論をしているので、学内にどういう人がいるか、直接わからなければ誰にきけばよいかという情報はかなりもっています。また以前から数学を脳科学やネットワークに利用するということについて興味をもっていたので、そのテーマについて東北大学の研究者の情報を収集していました。サイエンティフィックな能力についてはそんな感じで少しずつ鍛えられ、最近は特に情報が入りやすくなっているという面があります。

事務能力についてはまだまったくないです。もともと日本数学会の学会費を一桁間違えて10 年分払ったことがあるくらいです。実は今はてきぱきやっているように見えるかもしれないけれども、それは私にとって結構負担ですね。自然にやっていてきちんとできる方ではないので、きちんとやらなければならないというのは精神的に負担になっています。

津田 事務面でのサポート要員は大学側から供給されますか。

小谷 全学の委員会関係では優秀な事務スタッフがたくさんいて、私は大まかな指示を与えればどんどんできあがるようになっています。AMF については、情報科学研究科の尾畑さん(尾畑伸明教授)という大変に企画力に有能な方がいて、本当にとてもお世話になっています。私がこんなふうにやりたいとかこの人を呼びたいというと、あとは尾畑さんがきちんとした形にしてくれるのが本当にありがたいです。またAMF が2007 年に立ち上がったのですが、その時に「東北大学で異分野融合を進めるのであれば数学がとても大事だ」ということをその当時の研究担当理事に訴えました。そうしたら確かにそうだと、国際高等研究教育機構融合研究所に数学の助教を新たにひとりつけてくださいました。彼女(助教)がAMF の事務局を務めています。

(注3)東北大学応用数学連携フォーラム(AMF)

(注4)東北大学GCOE脳神経科学を社会へ還流する教育研究拠点・北海道大学数学連携研究センター共催、東北大学応用数学連携フォーラム第8回ワークショップ「数学と脳科学」。

諸分野との連携

津田 非常にうまくいっているわけですね。今、数学と諸分野の関係ということで数学をさらに広げていくということが非常に重要なことだと我々も思っているんですが、小谷先生が理事を務められている日本数学会内部で数学の新たな展開について試みられていますか、あるいは今後計画はおありでしょうか。

小谷 最近の数学のセミナー案内とかを見ていると、数学の研究者が他分野へ目を開きたい気持ちが強くなっている雰囲気を感じます。数学会の中の動きでは、津田先生もご存じのとおり文部科学省から数学・数理科学が諸分野と連携するための委託調査(注5) を受託しました。ここ数カ月その関連の話が理事会で議論されています。いろんな大学の実情について、大学院生・教員レベルでどんなことを考えているのかというアンケートをする、そのアンケートの結果をもとにもう少し深めていきたいという話になっています。

津田 今後楽しみにしていますので是非協力したいと思います。

(注5) 文部科学省委託事業「数学・数理科学と他分野の連携・協力の推進に関する調査・検討~第4 期科学技術基本計画の検討に向けて~」。

数学者になろうと思ったわけ

津田 少し時系列をさかのぼって数学者になろうと思ったきっかけをお聞きしたいとおもいます。まず、小さい頃どういうお子さんでしたか。

小谷 小学校の時は人見知りで本を読むのが好きで、算数・計算はとても苦手でした。計算は今でも苦手ですが。中学校に入って算数が数学になってから好きになりました。いろいろ自分で本を読んで質問をするのが好きな生徒だったので、数学に限らず質問を考えて先生に質問をするのを楽しみにしていました。数学以外の先生に質問をすると、そういうふうに決まっているからとか、もう一寸大人にならないとわからない、といわれることがあったのですが、数学に関してはこちらの考えていることを論理的に説明できたし、先生からここが違うよときちんと説明してもらえると納得できて満足感がありました。その時は先生が親切だったということもあるのですが、今になって思うとそれが数学という学問の本質なのかなと思います。数学以外の学問はある程度順番に知識とかを積み上げていかないとアクセスできない点があるので、中学生位が知りたいとか、これは違うんじゃないかと思っても、なかなかきちんと考えにくいし、先生も説明しきれないところがあったのではないかと思うんですね。数学だけは知識がなくとも時間をかけて説明すればお互い納得しあえる学問なので、そういうことが実はとても大きかったのではないか。きちんと納得できるところが自分の性にあっていたので、それで数学が好きだったんだろうと思います。

津田 中学校のころから数学が好きだったんですか。

小谷 数学と物理が好きでした。とくに数学ですね。

津田 その興味が高校になってさらに広がったということですか。大学を受ける時にはもう数学をやろうと決めて、ということだったんですね。

小谷 そうですね。

津田 その時に職業としての数学者になろうという意識はありましたか。

小谷 職業としての研究者を知っていたわけではないので。中学校・高校を通じて本を読んだり、ものを考えたり、調べ物をしたりすることは好きだったのでそういう職業に就きたいと思っていました。

数学は暗記モノ?

津田 今おっしゃったことで非常に重要なポイントがいくつかあると思うんですけど、数学という学問の特徴ですね、どのレベルでもある程度簡潔にわかる、というか。たとえば物理なんかにしても原子・分子を子供に教えようとしてもなかなか実体概念が身につかないということがあると思うんですが、数学の場合にはそのレベルなりに納得する方法があるということだと思うんですけれども。数学離れを言われて久しいのですが、どうもそのあたりがあまり生徒たちに浸透していっていないような、今の小谷先生のお話の感じ方ができる子は潜在的にもっといるのではないかと私は思います。「数学は暗記モノだ」といったり、数学がきらいだといって文系に行くという傾向がますます強くなっている気がするんですが、何が原因だと思われますか。

小谷 2005 年に数学以外の人と話す機会があり、数学って私はこういう学問だと思っていますといったら、聞き手にとても驚かれました。その時まで私は「数学は暗記モノ」とは、数学はとても難しく頭をつかって考えなければならないのだけれども、暗記したらなんとかなるよ、という逆説的な表現だと考えていました。ところが、そうではなくて、文字通り、数学は暗記した通りに答えなければならない自由度の少ない学問であると今の中学生・高校生は考えていることを知ってとても驚きました。確かに、中学生・高校生向けの授業の機会にアンケートをみると「数学がこういう学問だと思っていなかった。こういう風に自由に考えられるのか」という回答が目立ちます。そういうアンケート結果を聞くと、なぜ数学が自由な学問であることを普通の数学の授業で教えてないのかと。それで今は、(中高生向けの出前授業等を通じた)アクセスの機会があるので数学についてアピールできたらいいなという風に思っています。

津田 大学の先生の負担をあまり増やしても困るんですが、数学研究の経験がある人がちょっと教えるということは、(中高生の数学に対する考え方に)また違った効果をもつと思うんですよね。イニシエーションにしてもなんにしても。そのあたりもやっておられるということなので、なにかもう少しそういう考えが広がるといいと思ってます。小谷先生が感じられた他分野の人たちの数学に対する感覚はかなり普遍的にあるんですよね。僕もいろんな分野の人や小中高校生位の話を聞くと、とにかく授業なんかでも教わった通りにやらないとペケがついちゃうということを聞くものですから、数学というのは一番自由な学問だというふうに我々は習って きたし、そういう感覚と真反対のことが今行われているということに非常に驚いています。ここで議論して解決する問題ではないけれども、中高校生に対する出前授業とかそういうことも我々は少し積極的にやっていかなければならないのかなという感じはします。

小谷 大学の学部での教育では学生は与えられたものを学び、大学院になってはじめて自分で能動的に研究とか勉強するようになる訳ですよね。そういう体験をした人が中等教育に携われるようになるといいなと思います。自分の体験でもそうですし、まわりで研究者になった方の話を聞いても中学校・高校の頃に誰に出会ったかが、その人の人生にとって大きな影響をあたえているようです。

離散幾何とは何か

秋田 大学に進学して最初はリーマン幾何を専攻されたわけですが、幾何を選んだ理由は?

小谷 やはり幾何・図形的なものが好きだったということと、私の出身大学では、4年生の時にセミナーの本を選んでそれで専門が決まるのですが、その時に提示された中で幾何の本を選んだ、という安直な決まり方です。いい加減に決まったわりには、今から振り返っても幾何が一番自分の性にあっていたなと思います。

津田 何の本でしたか。

小谷 ヘルガソン(注6) です。

津田 読み切れた?

小谷 いや、セミナーでは全然読み切れませんでした。ただセミナーとは別に、岩堀ゼミの先輩と自主ゼミをしばらくやっていたのでだいぶ進みました。

秋田 そこから現在のご専門である離散幾何に興味を持たれたきっかけは。

小谷 最初は調和写像を研究していました。ある時、周期性をもつ調和写像に興味を持ち、それに関連してtwisted ラプラシアンを勉強したいと思い、砂田先生(砂田利一・現明治大学理工学部教授)に集中講義にきていただきました。砂田先生に私の研究の話をしたら、ちょうど確率論にこういう問題がありますと言われて興味をもちました。当時、身近にいた確率論の先生ともセミナーをしていたのですが、その確率論の先生が話されたお話が、私にとってはとても不思議で、刺激をうけました。その問題の意味を考えていると、確率論の問題に調和写像が使えることがわかり、砂田先生との共同研究に発展しました。最初の数年は、私は調和写像の研究が本職で、今はたまたま(離散幾何を)やっていますというスタンスでいたのですが、離散幾何の研究がどんどん継続するので、今ではこれ(離散幾何)をやっていこうかなと思っています。

秋田 離散幾何を専門外の人に説明するとしたらどのように説明しますか。

小谷 研究者相手の場合には、例えば、実験のデータをプロットする。プロットしただけでは何もわからない。グラフとなるようにデータをつなぐ線をひくことによってはじめて現象の傾向というか本質がみえてくる。それは離散的なデータに隠れている構造をみるということを実はやっているんですと話します。どうしてこういう線を引いていいのか、正しい線の引き方かを考えないで実験結果を出していいのですかというと、ああそういえばそうですねと賛同してくれます。離散的なデータに隠れた幾何構造があるので、どういう線を引いたらいいかを論理的に定めるための研究をしていますというとなんとなくわかってくれるようです。

(注6) Sigurdur Helgason 著 ”Differential Geometry, Lie Groups, and Symmetric Spaces”. Academic Press, New York. 1978.

離散と連続

小谷 もっと一般の人を対象に説明するときは、CDに録音された音楽はデジタルだから本当はデジタルにしか聞こえていないはずなのに、滑らかな音としてアナログ的に聞こえるのはなぜかという話をします。残念ながら、なかなかうまく分かってもらえないです。

津田 今のお話は脳の問題だと思いますが。本当のインスタントっていうのは脳は感知できなくて、時間的に近接する二つの音を脳が異同と順序を区別するためにはおおよそ30 ミリ秒の間隔が必要であって、実際には30 ミリ秒以内に近接して入ってきた音は順序の区別ができない。つまり順序を区別するためにはそれだけの時間がかかるので、基本的な脳の時間的幅というものはあるわけです。一般の人は普段感じておりませんが、感じ始めると離散と連続という問題は非常に深刻な問題ですね。今のお話を聞いていて別の意味で非常に刺激になりました。

小谷 その辺の話をちゃんとしてから説明するとわかりやすいのかなあ。

津田 離散と連続の話はなかなか一般の人には説明しづらいですね。先ほどのグラフのお話にもどると、統計でも同じ話をしますね。離散データの話があって、どうつなぐかということをやっている。どうつないでも蓋然性はなくて、そこで何か別の量、ある種のエントロピーをもってきてそれを最大にするなり最小にするなりという原理を置くわけですね。幾何の場合には何かそういういった原理はあるのでしょうか。離散的なものの背後に連続的な幾何構造があるとだけ言っても線の引き方は、一意に決まるわけではないような気がするのですが?

小谷 これから進む話だと思いますが、秋田先生もご存じのように離散群とか離散的なものに隠れている曲率をとらえようという話は最近かなりあります。特に東北大学ではそういう研究が盛んです。曲率は、もともとは微分幾何的概念で微分を使って定義されていますが、曲率の理解が進むにつれ、曲率の本質はそういうところにない。離散的なものにも隠れた曲率構造がある、ことが論じられるようになりました。曲線は、結局曲率がわかればいいわけですから、その辺のことが使えたらいいなと思っています。

秋田 グラフの場合には比較的には微分幾何とのアナロジーがうまくいっていると思いますが、高次元の場合にもいろいろ話はありますが、なんというか、混乱があるというか。この場合にはこうやればOK、あの場合にはああやればOK というのはあっても、統一的な方法がまだないような感じですよね。

小谷 そうですね。本当にいま秋田先生がおっしゃったように、個々のケースでこうやったらうまくいくという知識が集まってきている段階だと思います。統一的にどうやってすっきりさせるかというのはこれからやらなければならない、一番今面白いところで、すぐにできる話とは思っていませんが、私の当面の目標ですね。

「離散幾何学から提案する新物質創成と物性発現の解明」プロジェクト

津田 小谷先生はいろんなプロジェクトに取り組んでおられるんですが、その一つに「離散幾何学から提案する新物質創成と物性発現の解明( 以下、CREST-MathMate)(注7)」 プロジェクトがあり、その中で物質系の研究者の方たちとの共同研究があります。ここで詳しい話は伺えませんが、ご自身の専門である離散幾何学と、ある種の物質の数学的構造、別の言葉でいえばリアルな構造とのマッチングが良いとお感じになっていますか。曖昧な質問かもしれませんが。

小谷 材料科学の研究者たちは、経験を積んでいて目がよく効くので複雑な問題をうまく扱っています。それを、もう少し統一的に理解できることがあれば、我々数学者にとっても面白いし、彼らにも興味を持ってもらえるのではないかと思うのです。彼らがデリケートなところを捉えてひとつひとつ手作りでやってる部分を、完全に数学できちんと記述できるかというとそれはかなり乖離があると思います。数学に求められているのはこういう指針で考えたらいいのではないかというように問題を整理をすること、または数学的観点を提供することであり、CREST-MathMate でやりたいことはむしろそういう部分です。プロジェクトに参加している材料科学の研究者たちは実際に物を作るこつについてはエクスパートです。それを数学で記述することでなく、どうしてこうなっているかという原理の部分を解き明かして欲しいと言っているので、それでいいのかなと思ってます。

(注7) 「離散幾何学から提案する新物質創成と物性発現の解明」とは科学技術振興機構戦略的創造研究推進事業のもとに行われているCREST プログラムの研究領域『数学と諸分野の協働によるブレークスルーの探索』(研究総括:西浦廉政電子研教授・センター兼務教員、アドバイザー:津田センター 長)におけるプロジェクト。小谷教授がチームリーダーを務める。略称のCREST-MathMate とは、数学Mathematics と材料Material の協働を意味する。

K4 結晶構造

津田 それはとても良いコミュニケーションだと思います。数学というのは非常に抽象化できる学問なので、たとえば現象があった時に、物理では現象論という言い方をするのですが、現象論は大事なんだけれども、現象にあまりに密着しすぎて理論を作るとそこから飛躍できない部分がどうしてもでてくる。そこを思い切って一旦現象を忘れて抽象化するとよりはっきりと見える部分があって、見通しのよい予言ができることがある。それがある種の現象論から出発した理論の醍醐味でもある訳です。その離れる部分は数学がないと離れられない。そういう意味のきわめて抽象化した部分で、数学が逆にいろんな現象を予測していくということに関する見通しに関してはどうでしょうか。

小谷 それをまさにやりたいと思っています。

津田 小谷先生がCREST-MathMateプロジェクトで取り組まれている K4結晶構造(注8)が現実につくれるのか、一体どういう物性をもっているのか、素人ながらとても興味があります。

小谷 数学では、これは自然だとか、なんとなく調和がとれているということをベースにいろんなことを考えていて、そういう視点で提案するのはとても大切ですよね。彼ら(材料科学の研究者たち)は、経験に基づいて、例えばこの材料でできているなら、これに近い性質をもっているこちらの材料で置き換えてもいいとかそういうふうに試行錯誤で考えることが多い印象ですが、自然さみたいなものに注目することもあってよいと思うんです。

K 4結晶構造

名古屋大学大学院多元数理科学研究科、内藤久資氏作成

津田 それは対称性に着目するのですか。

小谷 対称性に限らないと思うのですけど、数学の定理は、論理的に正しければなんでも定理だけど、みんながこれはいい定理だとかたいしたことない定理だとかいろいろ言いますよね、その時の感覚は、自然に感じる、腑におちるところに立脚していいます。我々(数学者)はそういう訓練ができていますよね。自然は調和がとれているものですから、その感覚に立脚して、物事をみていくことがとても大切だと思うんです。K4 に関しても、そもそも結晶の取りうる構造はいろいろな観点で分類されていてそれはもういくらでも可能な構造はあります。でも全部作るわけじゃないと。どれが実在の可能性が高く有望でトライする価値があるかということを、数学からは、これが自然だからとか、対称性が高いとか、自然な条件つけたらこれしかないとか、バランスがとれているとか、少し違う視点を提供できるのかなと思います。

(注8) K4結晶構造とは砂田利一(明治大学理工学部教授)が発見し、現実に存在するかを問うた強い等方性を持つ3次元の結晶構造(Sunada;2008)のことで、砂田格子とよばれるべきもの。

数学者はロマンチスト

津田 数学というのは面白い学問で、すべてがそうではないんですけれども、振り返ってみると実は自然現象とか工学とかで今必要な数学はすでに遠い昔に用意されている、逆に言うと予測・予言は意識してなされたものではない、意識しなくても用意されている。いいかえると数学者はある種の構造をみているのだと思うんですけど、数学者のそういう視点というのは学生たちにどうやったらうまく伝わると思われますか。また教育の話にもどって申し訳ないんですが。特に大学院生位を対象とした場合。

小谷 数学は「いついかなるときも正しい」形で話そうするために、問題意識などが学生に伝えにくくなっているところがありますよね。できあがった完成形だけを見せます。数学の講義や、論文では、定義があって、定理があって、証明が書いてあって、それでおしまい。その背後にあるモチベーションや展望を語るのは、はしたないとされているところがあると思います。それを論文で語ることが適切かどうかはよくわかりませんが、秘めたる情熱を話す機会があってもいいのかなとは思います。

津田 数学者はロマンチストであると思いますか。

小谷 思います。

津田 だとしたら、もうちょっとロマンを語ってもいいと思いませんか。

小谷 でも語らないのが良しとされているところがあって。

津田 少し抑制を効かせながら喋ると学生の方も何か感じるところがあるかもしれません。僕は『ガロアの生涯― 神々の愛でし人 』(注9) というガロアの伝記があってそれを高校生の時に夢中になって授業中も机の下で読んでました。先生も心得たもので、わざとあてずにいてくれたので、一日で読み切ることができましたけれども。

小谷 それはいい先生ですね。

津田 数学者がああいう別の意味で情熱をもっていろんなことをやっていたというのはわくわくしますね。

小谷 数学者だけではないと思いますが、研究者は表面は穏やかでも内面でふつふつと燃えているものがあると思います。そういうことをみせる機会があるといいかなと思います。おもてだって表現するのではなく て、研究の話をしているときは自然にそういうふうに見えると思うので、そういうところをいろんな人に見てもらえたらいいかなと思うんですよね。

津田 講義ってやはり難しいと思います。ステップ・バイ・ステップで教えなければならない、ある程度整理されたものをきちんと教えなければならない部分があるけれども、一方で今まさに研究している対象について少し教えると、先生たちも燃えてきますから、ちらっとその炎が学生に伝わる部分があるかもしれません。

(注9) L. インフェルト著 市井三郎訳 日本評論社、初版、1950 年。

プロジェクト立ち上げまで

秋田 もう少しCREST-MathMate プロジェクトについて。他分野の研究者と交流するというのと、実際にチームをつくって他分野の人と協働するというのはかなりレベルが違うと思いますが、そもそものプロジェクト立ち上げのきっかけは何だったのでしょうか。

小谷 はじめはK4 の話があって、数学の観点ではこういう構造が見つかったのですが、こういう構造をもった物質は実際には存在しますかといろいろな人に聞いてみました。話だけではなかなか興味を持ってもらえなかったのですが、実際に模型を作って持って行ったら興味を持ってくれて、じゃあ作ってみようという話に急になりました。たまたまCREST(の研究領域『数学と諸分野の協働によるブレークスルーの探索』分野でのプロジェクト募集)(注10) の話があったので進みました。実は、最近、少し数学が窮屈になってきている気がして、数学のすそ野を広げることが大切だと感じていたんです。深くなっているといえば深くなっているけれども、難しくなっていて、もうちょっと広めていく時期なのかなとも思っていました。他分野の役に立ちたいということだけでなく、数学にとっても他分野からの刺激がほしいなと思っていたところもあったので、ちょうどタイミングがよかったのです。

秋田 模型をつくったらその気になったというのは興味深いですね。異分野の人達をその気にさせるのは結構大変な仕事だという印象があります。

小谷 結構しつこくアタックしました。だいたいは話をしても聞いてもらえないし、手書きで絵を書いたりしても全然通じなくて、かなりたくさんの人に話をしたのです。結局は、模型など眼で見える形で持っていくことが大切なんだと実感しました。

秋田 そういう期間が結構長く続いたのですね。ある程度の期間みたいなのがあって。

小谷 CREST-MathMate プロジェクトに関しては1年前にさきがけプログラム(注11) が開始されてその頃からなんとかチームを作りたいなという思いはあって、結構準備期間はありました。(本日のインタビューで)一番最初に聞いていただいた AMF での活動がきっかけになってはいます。AMF に参加するひと達は数学にかなり期待していると感じたので、本当にこれはやらないと、期待に応えたいというのがありました。

津田 中には期待が大きいだけに失敗を恐れるひともいますが。

小谷 私は大体イケイケな方で、何でもいろいろ慎重に考えるよりは、問題がでてきたらそこで解決していったらよいという、ネガティブな方を見ていてもしょうがないので、ポジティブな方をみてやってしまうタイプなので…、それで雑用がまわってくるんだけど。

(注10) 科学技術振興機構における戦略的創造研究推進事業のもとに行われているプログラムの一種。脚注7 参照。

(注11) さきがけとは、CREST と並ぶ科学技術振興機構戦略的創造研究推進事業のプログラムのひとつ。CREST がチーム型研究を対象としたプログラムであるのに対し、さきがけは戦略目標に基づいて未来のイノベーションの芽を育む個人型研究を対象としている。

文化の違い

津田 実験家をまとめるのは大変だと思いますが、小谷チームはよくまとまってますね。

小谷 そうですね。でもやっぱり最初は文化の違いで失敗したことは結構ありました。特にポスドクの人との距離のとり方が数学とは全然違うので難しかったですね。数学の場合は、大学院生でもポスドクでも独立の研究者で、その人が面白いと思ったら直接やりとりして、共同研究が成立するというところがありますけど、実験系で、特に工学系のポスドクとかは、ラボでのミッション達成のために雇用されているので、上の人が面白いと思って、「君これやりなさい」といわない限りはやる自由がないんですよね。いいのか悪いのかよくわからないのですが。そこが最初わからなくて直接本人に話をもっていっていたのですが、それじゃだめなんだということがわかりました。

津田 ボスの許可をとる必要があるわけですね。

小谷 そうですね。理学系の実験室は違うかもしれませんが、工学部はありますね。ヘッドは柔軟性もあり開放的なので実際のところ気にしていなかったのですが、学生のほうが先生の許可を取らないと、という意識がすごく強いので。

津田 それは確かに医学系、工学系の学生さんはその意識が強いかもしれませんね。先生たちのほうはあまり考えていないですけれども。

小谷 また実際のところ、「じゃあこれやってください」と依頼した場合、実行にお金がかかるわけですね。我々の場合は、ポスドクの人たちも含め、自分たちの研究費でできるわけですが、工学系の場合はそのお金はラボのお金なので、そういうこともあって許可をとる必要があるのだと思います。

津田 CREST-MathMate プロジェクトに参加されているそれぞれの材料系の先生たちは、自分たちのラボをもっているわけですけれども、本来のラボの仕事とCREST- MathMate プロジェクトのテーマと必ずしも一致しないと思いますが、その辺の切り分けはどうしているのでしょうか。小谷先生に聞く話ではないかもしれませんが。

小谷 材料系の先生方は面白い話だと思ってくれて参加してくれています。もともと彼らはいくつも並行したたくさんのプロジェクトをもっていますが、これは面白いプロジェクトだからということで、エフォートに応じて参加してくれています。CREST-MathMate プロジェクトの予算は、数学(分野のプロジェクト)にとってはとても大きいのですが、彼らにとってはほんとに全然無いに等しいので、純粋に研究が面白いから参加しているのだよ、と言ってくれています。実際のところ持ち出しでやってもらっています。

津田 予算が少ないのはいいのかもしれませんね。

小谷 いやあ、どうなんだろう。CREST プログラムに応募した一つの理由は、萌芽研究を始めるのに、やはり「予算獲得」は重要だからです。たとえ微々たるものでも、予算をとってミッションを達成しないといけないという所が一つの枷になることは事実なので、萌芽研究を推進するチカラになります。こういうプロジェクトマネーというのは本当にありがたい。数学に関係するプロジェクトがもっとできたら他分野との融合は本当に進むと思うんですよね。他分野の人と話しても「面白いね」、というそれで終わってしまうことが多いので、私はCREST プログラムをそういう意味では利用させてもらっています。CREST に応募したい、予算とってきました、ミッションもあるしやらなきゃいけません、などを口実として、実際には自分がやりたいだけなんですが。

津田 重要な点ですね。今、小谷先生がおっしゃったように、他分野の人にとって数学者として付き合うのは予算額ではなくて、数学者が予算をとってきたという事実が大事なのですね。

小谷 数学者が軸になったプロジェクトがあるといいと思うんですよね。数学者以外がとってきたプロジェクトで数学の人参加してくださいと言われても、役には立てると思うんですが、埋もれちゃうというか、技術スタッフに近い感じになってしまうので。それだと数学の人がやりたいと思っていることができない部分がどうしてもでてきますね。数学が興味を追求するためには、額は少なくともいいのだけれど数学者がリーダーになっているプロジェクトがあって他分野の人に加わってもらうのがいいのだと思います。

津田 ぜひ、今の点を主張していきたいと思いますけど。

今後の研究の方向

秋田 今後の小谷先生の研究の方向は。

小谷 離散的な現象をスケール変換して、連続な現象をとりだすところが面白いと思っています。解析と確率論の深い話になると私はなかなかできないので、今回の CREST-MathMate プロジェクトでは、解析や確率論のかたも加わっています。数学以外の他分野というだけでなく、数学の専門外の人ともいろんな話をして勉強する機会になっていてとてもありがたいです。津田さんによると数学のCREST プログラムは成果主義ではないということなので、いろいろな分野を統合した新しい数学ができたらいいなと高望みに考えています。

秋田 離散幾何という幾何という名前はついていますけれども、むしろ確率論や他分野の人との関わりが多い印象があります。

小谷 他分野との共同研究でも同じことですが、確率論でも偏微分方程式でもの深い結果に、幾何的な観点が入ったら面白い、逆に幾何的な視点をいれないと私がやっている意味がないから。わたしが確率論や偏微分方程式の方面で貢献できるとすれば、彼らが既にやっていることを言い換えになるかもしれないけれど、幾何的に見たらこういう意味があるんですよと整理してみることです。その視点をもつことで次の上のステップにすすめたら嬉しいなと思います。だから(名称に)「幾何」ってついていることが大切なんです。

秋田 東北大学の微分幾何は組み合わせ的な構造の背後にある幾何を見ている人が多いと思います。東北大学は特にメッカになっていますが、微分幾何全体でもそういう流れがあるように感じます。今の微分幾何は深く難しくなりすぎているので、ちょっと広げようという流れになっているのでしょうか。

小谷 そうじゃないかと思います。微分幾何も発展する方向を模索しているところがあると思います。難しく深くなりすぎているところもあって、なんとなく行き詰まり感があるんじゃないかと思うんですよね。もっと素朴に直感を活かせて、しかも深い結果になりそうなことをみんな探しているような気がするので。東北大学では、そういう意味では離散的対象とか、特異空間での幾何の分野にいい研究者が揃っているし、いい環境です。

秋田 多様体でない微分幾何ですね。

小谷 微分しない微分幾何学者ばっかり、

秋田 (多様体でない微分幾何以外にも)素粒子論からの影響という流れもありますね。東北大学が、というのではなく、全体として。

小谷 みんな刺激というか広がる方向を求めている気がしますね。

津田 物理と数学は昔からある意味で緊密な関係があって、ニュートン力学以降そうなんですけれども。日本は幸か不幸か、最初は数物学会としてスタートしたが、割と早い時期に数学会と物理学会がわかれてしまった。それで、個別のコミュニケーションはあっても全体としてのコミュニケーションが失われました。でも特に最近は素粒子とかの分野でつながりがでてきていますね。一方、小谷先生は材料物性と数学との関係を重視しておられて、あまり皆がやらなかったところだと思うのでとても注目しています。ブレークスルーを期待したいと思います。

小谷 アドバイザーとしてアドバイスどうぞよろしくお願いします。

女性も科学する

津田 今日のインタビューで小谷先生の数学感を少し浮き彫りにできたかなという気がします。最後に私が若いころから関心のある議題のひとつで聞いておきたいことがあります。女性研究者の問題です。私が物理の院生のころから、物理以外の分野では、例えば生化学若手の会とか、特に生物系では女性の院生は多かったです。数学や物理は数が限られていました。生物系の方では必ず女性研究者の問題というセッションがあって、興味があったのでよく参加して、やっつけられるのですが、いろいろ議論しました。数学に女性研究者が少ないのは非常に不思議です。物理にしても数学にしても、とにかく入ってくる学生の数がまず少ない。数学のほうが物理より若干多い気はしますが、クラスに40 ~ 50 人学生がいるとすれば女子学生の割合は数学で1割いるかいないか、物理は当時2~3%しかいない。時代が変わってもそれほどこの傾向に変化が無いようにみえます。当然(学生の)数が少ないので研究者として育っていく人も少ない。これはある意味もったいない話だ。まず、女性を大学・大学院のレベルで学生の間にいま以上に何倍もリクルートできる状況を作る必要があるのではないかと思うのですがどうですか。

小谷 私は女性研究者育成の仕事もしています。科学一般で言うと欧米諸国は大学入学時点では理系の男女比はすでに1対1かむしろ女性の方が多いと聞いています。一方、日本は2対1で女性が少ない。母集団が大きくて初めてということもあると思うので、そこを変えなければいけないのがひとつ。生命科学や化学に関していうと、女子学生は30 ~ 40%いるのに教員は少ないという問題があります。支援制度等に代表される環境の改善で解決できることも多く、そのための環境整備とシステム改革を進めてきました。一方、数学や物理が抱えている、入ってくる女性が極めて少ないという問題ですが、こちらのほうが深刻かもしれません。数学についていえば性差によるハンディはほとんどない。実験系はチームでやらなければいけないので出産とか育児ということがあるとなかなかむずかしいところもあるかもしれない。一方、数学はハンディがないにもかかわらず入ってくるところが少ない。

中学校や高校の段階で、「女性も科学する」様々な形を見るのがとても大事だと思っていて、東北大学の女子大学院生が中学校や高校にいって研究の話をして科学の面白さを伝えるためのサイエンス・エンジェル(注12) という活動に取り組んでいます。マリー・キュリーの話をしたり、すでに研究者として確立した女性研究者を見せて、みんなに目指しなさいと言うばかりではいけ ない。理系分野で活躍するにはいろんな動機と選択肢があります。中高生にとっては、数学・物理・化学という固定した科目だけではなく、大学で行われている 科学の研究の多様性を知ることも大切だと思う。私の友人で工学研究科の女性教授は、触感を実現する研究をしていて、それはシャンプーやリンスの開発につな がっています。そういうのは女性ならではの感覚とか好奇心を活かしています。結構みんなおしゃれな感じでやっている。サイエンス・エンジェル活動はおしゃ れが重要だと思っていて、ロゴやT シャツ、ポスターも可愛くデザインに凝っています。ぜひ、ホームページをみてください。

津田 まったく例は違うんだけど、野球をやっている子供たちにプロ選手が教えると、子供のうちの何人かはすごく強い印象をもって、最終的にプロ選手になるかどうかは別としても、やっぱりずーっと野球に憧れをもって育っていくということがあると思う。何かそういう、子供たちにも感覚的に、学者っていうのは難しいんですけど、こういう職業が女性にあるんだというのを、そういうのを見せるとね。たとえば小学校の先生とかだと割と女性が多いので、小さいころから小学校の先生になりたいと思う子がでてくるわけで、そういうチャンスがもう少し小さい子にあると良い気がしますが、東北大学はそこまで年齢を下げて取り組んでいますか。

小谷 サイエンス・エンジェルは、小学生も対象の体験科学実験も行っています。あともうひとつ大切なのはお父さん、お母さんの科学に対する意識で、小学生イベントをするとお父さんお母さんも参加されるのがいいですね。

津田 多方面にわたってご活躍されていますね。

小谷 大変ですけど、大切だと思うので。

津田 私は、一人の研究者にはいろんな能力があって、それを最大限に発揮されると、とてもいい結果が得られると思っていて、小谷先生の場合にはいろんな分野で非常に自然な形で能力が発揮されていて、とても良いと思いました。今後ともどうぞよろしくお願いします。今日はありがとうございました。

秋田 ありがとうございました。

小谷 ありがとうございました。

(注12) サ イエンス・エンジェルとは、東北大学が取り組む「杜の都女性研究者ハードリング支援事業」の一環である次世代支援プログラムのひとつ。

日時: 2009 年11 月5日(木)10:30 ~ 12:00

場所: 理学部3号館 3F 理学応接室