数学連携サロン第26回 タンパク質の分子動力学に対する時系列解析と集団運動

戸田幹人 准教授 (奈良女子大学理学部)

タンパク質の動的な挙動には、タンパク質の持つ階層的な構造 (2次構造や3次構造)を反映した集団運動が存在することが期待できる。しかし生体分子の集団運動の動力学的な記述には、従来考えられてこなかった様々な問題点が存在する。たとえば、

(1)集団運動を構成するミクロ自由度は時々刻々変動していくが、そのような自由度をどのように抽出するのか、

(2)集団運動とそれ以外の自由度の「境界」をどのように設定するのか、

(3)集団運動の動力学は、それ以外の自由度からの相互作用や「雑音」の影響下にあるが、そのような「雑音」の統計的性質をブラウン運動でモデル化できるのか、

(4)集団運動の動力学における連関を、どのように抽出できるのか、

など、現象の「モデル化」の可能性に関する論点が多々存在する。特に、分子動力学データの時系列から、集団運動の動力学的を抽出する課題には、ランダム力学系に基づくモデル化に係わる新しい問題がある。

従来、時系列から動力学を抽出するには、Takens の埋め込み定理が指針となってきた。その基本的な発想は、狭い意味での「決定論性」をデータから読み取ろうという点にある。しかし、我々が興味のある「集団運動の動力学」は、全系を粗視化した結果であって周囲の影響下にあり、狭い意味での「決定論的因果性」に依拠した埋め込み定理の枠外にある問題である。

そのような問題に対して、どのような数理的なアプローチが可能なのか、皆さんと議論したい。

上記のとおり講演会を開催致しますので、皆様奮ってご参加下さい。

ポスター(PDF)

セミナー区分
セミナー
開催日時
2010年   12月 16日 16時 00分 ~ 2010年   12月 16日 17時 00分
場所
北キャンパス電子科学研究所(北20条) 1階会議室
講演者・世話人
戸田幹人 准教授 (奈良女子大学理学部)
関連項目

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